副腎髄質から分泌されるアドレナリンとノルアドレナリンは、緊急時に体を守るために欠かせないホルモンです。本記事では、その分泌のしくみから作用の違い、関連疾患までをわかりやすく解説します。

副腎髄質とは
副腎は第11胸椎〜第1腰椎の高さに位置し、わずか5〜7gの小さな器官です。表層の副腎皮質と深層の副腎髄質から構成されており、副腎髄質には「クロム親和性細胞」と呼ばれる特殊な細胞が存在します。この細胞からアドレナリン(約80%)、ノルアドレナリン(約20%)、微量のドーパミンが分泌されます。これら3種を総称してカテコールアミンと呼びます。
神経系との関係
副腎髄質は交感神経系と密接に関連しています。通常の交感神経では「節前繊維 → 神経節 → 節後繊維 → 効果器」という経路をたどりますが、副腎髄質の場合は節後繊維を介さず、節前繊維が直接シナプスを形成します。副腎髄質の内分泌細胞は節後繊維の軸索が変化したものと考えられており、危機的状況下で迅速なホルモン分泌を可能にしています。
アドレナリンとノルアドレナリンの違い
- ノルアドレナリン:主に全身の血管を収縮させ、末梢循環抵抗を増大させることで血圧を大幅に上昇させます。その反動として心拍出量はむしろ低下します。
- アドレナリン:心臓の働きを活性化させ心拍出量を増大させます。また、筋肉や肝臓への血流を増やすために血管を拡張するため、末梢循環抵抗は低下し、血圧上昇は比較的軽度です。

関連疾患:褐色細胞腫
副腎髄質のクロム親和性細胞に腫瘍が生じる褐色細胞腫では、カテコールアミンが過剰に分泌されます。その結果、以下のような症状が現れます。
- 高血圧・高血糖
- 頭痛・多汗
- 代謝の過剰亢進
これらはすべてアドレナリン・ノルアドレナリンの作用が異常に増強された状態によるものであり、正常な生理作用の理解が疾患の把握にも直結します。
まとめ
アドレナリンは心機能の向上と筋肉への血流増加、ノルアドレナリンは血管収縮による血圧上昇という形で、それぞれ異なる役割を担っています。これらのホルモンのしくみを正しく理解することが、内分泌疾患の理解にもつながります。
